2020年11月

今月は、本当に天気が良く、沢山の対象を撮影することができました。
その中で、最も小さな天体、やまねこ座の惑星状星雲 PK164+31.1 です。
この惑星状星雲はブロードバンドでも良く写り、良く知られていますが、
残念ながら日本では名前で呼ばれることがないようです。
海外では、Headphone Nebula と記載されていますので、
ここでは、ヘッドホン星雲と呼ぶことにします。

撮影は二晩かけて、RGBを下條村で、ナローバンドは阿智村です。
AOO画像は、星雲内部の青色が写り、RGB画像よりも美しく見えます。
周辺部が二カ所で星雲内部に落ち込んでいるようなところがあって、
確かにヘッドホンのようです。

P164-A12-O10-O10-R1-D-RGB-DT-si-ps-si-ps-si


撮影日: 2020年11月12日、11月23日
Orion 250mm with paracorr2
SX-814(-30d)
Hα: 900s x 12
OⅢ: 900s x 10
RGB: 600s x 3
ALL: 1bin

10月から撮影をしていた対象ですが、11月に入って好天続きで撮影や処理が忙しく、
漸く、仕上げることができました。
カシオペヤ座にある比較的大きな惑星状星雲ですが、淡く、ブロードバンドでは
赤一色で印象に残らないことから、あまり撮影されないようです。

大きさは、ふたご座の惑星状星雲(メデューサ星雲)と同程度ですが、
撮影してみると星雲周辺の恒星の多さに気づきました。
星雲の最も明るい部分には、酸素成分が存在していること、
また、淡いガスが逆方向に尾のように広がっていることも分かります。
写真は、AOO画像にRGB画像を比較明合成したものです。

最初は、非対称の三日月の形から、超新星残骸と考えられていたようですが、
今日では、惑星状星雲に分類されています。

188-ADAOOD-RGBD-ps-2_b-rgb-ps-vz-ps-si_r-rgb_r-rgb2

撮影日: 2020年10月25日、11月12日
Orion 250mm with paracorr2
SX-814(-30d)
Hα: 900s x 16
OⅢ: 900s x 14
RGB: 600s x 3
ALL: 1bin


今回のしらびそ遠征の主目的は、とも座の散光星雲NGC2467(ヒヒ星雲)を撮影することでした。
この対象は下條村でHα画像を撮影していたのですが、
写りが良かったので、OⅢとRGB画像を南の低空の更に透明度の良い場所で撮影したいと
考えた訳です。

当日は、予定していたよりも、M33に撮影時間がかかってしまい、焦りながら、撮影に入りました。
幸い、トラブルもなく、OⅢを3時間弱、RGBを1時間程度撮影できて、薄明を迎えることになりました。
南の低空は、期待していたほど暗くはなかったのですが、透明度は良く、風もなく、
それぞれの写りも満足できるものでした。
画像処理は、AOO画像にRGB画像を比較明合成しています。

今回の遠征、午後7時から撮影を始めて、朝の5時まで、10時間に亘り、1枚のエラーもなく、
全ての画像が使えたことは驚異的でした。
これも、天候の良さのお蔭であったと思います。

2467-A10-O8-O8-RD-R3G3B3D-ps2-si-bm-si2

撮影日: 2020年11月4日、11月16日
TOA130NS with RD
SX-814(-30d)
Ha: 900s x 16
OⅢ: 1200s x 8
RGB: 480s x 3

11月19日で、しらびそ高原までの道路が閉鎖となることを知ったので、急遽
遠征をすることに決めました。
夕方5時過ぎに到着するとすでに、3台の車が来ており、そのうちの一台は
同じ天体写真グループのM氏でした。
撮影対象は、夜半までは、三角座の銀河M33,
それ以後は、南低空の散光星雲を予定していました。

風も、雲もなく、最高の条件で朝まで撮影できたことは
本当に恵まれていました。
その結果、予定していた通りの撮影ができました。

先ずは、M33から掲載します。
今回は、RGB画像でどれだけHα領域を写し出すことができるかも
期待したのですが、良い結果を得ることができました。
しらびその夜空の良さに助けられたようです。

M33-L24R10D-R8G7B7D-pcc-si-ps-si-vz


撮影日 2020年11月16日~17日
TOA130NS with RD
SX-814(-30d)
L:300s x 24, R:300s x 10 (1bin)
RGB: 300s x 7~8 (2bin)


月刊星ナビの12月号 星空カレンダー2021に 「胎児星雲(IC1848)の中央部」
が掲載となりました。

星空カレンダーは、2019に「創造の柱 M16」、2020に「シグナスウォール NGC7000」
が掲載されていますので、連続3回目となり、喜ぶよりも驚いています。

カレンダーの3回目はないと思っていたので、今回はギャラリーの方を期待していたのですが、
期待は外れて、カレンダーでの掲載となりましたが、これはこれで良かったと思います。

本カレンダーの星雲銀河の掲載は3つあり、星景との配置も良く考えられていて
素晴らしい造りとなっています。

来年の9月~10月に見るのを楽しみに自室にカレンダーを掲げています。
掲載分として星ナビから送られてきた星ナビ12月号とカレンダーは、
早速、阿智村の栗矢天体観測所に届けました。
ここでも、カレンダーを掲げて頂けることでしょう。


IMG_3108-ps


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