2021年11月

今年は5月の皆既月食が雲のために十分に撮影することが出来なかったので
11月の月食を期待していました。
予報では長野県南部は晴れだったのですが、当日曇りの予報となり
遠征場所を決めるのに相当悩みました。
結局、天気予報に従い、晴れの木曽御岳と決めたのですが、
それが当たり、しっかりと部分月食を堪能することができました。
現地に到着するとすでに月が昇っていたのですが、雲の中、しかし
その雲は低空だけなので、期待して機材を設置し、完了したころには
三日月の月が見えていました。

午後6時3分が食の最大で、その頃にはプレアデス星団だけでなく、さらに
天頂には天の川も見えて、それが6時30分頃まで続いていました。
午後7時には三日月にまで回復したので、部分月食終了前に観測を終えました。

撮影時間も十分に確保できたので、処理する画像が多く、
なんとか処理できたものを掲載します。

DSC_1853pssgps7jp

撮影時刻 2021年11月19日 午後6時2分48秒
Nikon D750  ASA1600   3秒 x 1
85mm  F3.2  


best-1-8s6C-s

撮影時刻 2021年11月19日  午後6時3分47秒~、6分35秒~
Nikon D810A   ASA1600   1/6秒 x  8  8秒 x 6
200mm  F3.6

撮影を10月から開始して、11月で終えることができた
ふたご座の超新星残骸(Supernova remnant)のくらげ星雲を漸く仕上げてみました。
以前、くらげ星雲から噴き出している星雲も含めて撮影していたので、
今回は、くらげ星雲の内部構造を写し出すこととしました。
撮影では、特に硫黄成分を重視して、SⅡフィルターの撮影時間を長くしています。

水素成分はたっぷりの対象ですが、酸素成分は乏しくAOO合成向きの対象ではないので、
硫黄成分に注目して、SAO合成によって処理しました。
その結果、くらげ星雲の頭部あたりの解像が良好となっています。
また、赤色付近の微妙な色の違いが分かります。

IC443-bulog

撮影日 2021年10月3日、5日、15日、11月2日
TOA103NS wth RD
SX-814(-20, -30)
Ha: 1200s x 10
SⅡ: 1200s x 15
OⅢ: 1200s x 11

これまでオライオンの25cm鏡筒は、CCD冷却カメラで使用してきましたが、
ニコンアダプターを入手できたので、デジタルカメラで撮影を行いました。
星見小屋にて、TOA130での撮影をしながら、その横でオリオン座のNGC1977
の撮影となりました。
フルサイズで撮影を行うと周辺がケラレるので、DXフォーマットを選択しました。
撮影ソフトはステラショット2を使用しています。
4時間程度の撮影を行ったのですが、後半に薄雲が通過し、画像処理に使用した
撮影データは3時間程度となっています。

NGC1977はランニングマン星雲として有名ですが、これまではM42と一緒に撮影して
いたので、オリオン大星雲の方に関心が向いていました。
そこで、今回はランニングマン星雲だけに対象を絞ってみたわけですが、
ほぼ期待した写りとなってくれました。
但し、使用したL-Pro フィルターのせいと思われますが、明るい恒星に淡いハローが
写っています。

NGC1977-KS-35CRD-WS-ps-bm-si-niksi

撮影日 2021年11月7日
ORION 250mm  with Paracorr2
OPTOLONG L-Pro50.8mm
D810A  ISO1600
300s x 35

昨年撮影していた対象ですが、処理が上手くいかずに一年間放置していました。
理由は、OⅢ画像をコンポジット処理すると、一枚の写りよりも悪くなる現象が生じたからです。
これは、初めてのことで原因が分からずにお蔵入りにしておりました。

ところが、今回撮影した画像を処理していて同じ現象が生じたのです。
悩んだ末に、漸く答えが見つかりました。
それは、ダーク画像の設定温度が違っていたことが原因でした。
マイナス30℃で撮影した画像に対して、マイナス20℃のダーク画像を使って
いたことによるものです。
OⅢ画像のように薄い写りの対象は、設定温度の違いが処理画像に大きな
影響を与えることが分かりました。

さて、NGC7822ですが、下條村にて二日かけてナローバンド画像を得たもので、
SAO合成によって処理しました。
苦労して撮影したデータが蘇りました。

7822-best

撮影日 2020年11月4日、8日
TOA130NS with RD
SX-814(-30d)
Ha : 1200s x 3, 900s x 10,  120s x 6
OⅢ: 1200s x 9
SⅡ: 1200s x 9




10月後半からの忙しいこと、気が付いたらもう11月半ばです。
晴れの日も続いて、撮影にも出かけることができましたので、
これから掲載をしていきます。

しかし、先ずはRAT55の報告からとします。
テーマが「花」ということで、天体写真は幾つかの候補があったのですが
ポピュラーな花からチューリップ星雲としました。
天空の花としては、バラ星雲、ヒマワリ星雲、アイリス星雲等がありますが、
アイリス星雲は最近撮影していないので、来年の撮影予定に加えておきます。

次回のテーマは「映画」です。
思いで深い映画について書こうとしていますが、それに関係する天体写真を
先日撮影してきました。
只今、処理中です。

RAT55


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