2019年02月

前回、掲載した岩本彗星とNGC2903の接近の写真ですが、
今回は、10枚を合成して、仕上げてみました。

行った作業をメモするために、詳しく書いていきます。
1枚、4分間の撮影でしたので、10枚は40分間となります。
途中、雲の通過もなく、良い条件でした。

さて、初めに、SIでダーク・フラット処理した10枚を恒星基準で
加算平均(σ)により、σ=1.1にて合成しました。
σを使った理由は、人工衛星を除くことと、彗星の核の輝度を下げるためです。
これで、後で彗星を消す作業を楽になります。

次に、彗星核基準で加算平均(σ)により、σ=2.0にて合成しました。
これにより、恒星はほぼ消えて、彗星のみの画像となります。

PSに移って、彗星のみの画像の残っている恒星をスポット修正ブラシツールで
消して、完全に彗星だけの画像を仕上げました。
それから、恒星基準の画像を開いて、今度は彗星を同じくスポット修正ブラシツールで
消して、恒星と星雲の画像を仕上げます。

両者をカラー比較(明)にて合成します。
この時、彗星の位置をどこに置くか問題となります。
今回は、彗星の動きが早く、40分間でも明らかな核の動きが写っていることから、
核の軌跡の中央に位置するところに、スクロールを使って核を移動させています。

あとは、レベル補正、トーンカーブを使って仕上げました。

従って、この写真は、科学的に見た場合、彗星の位置は3時47分頃となります。


イメージ 1

2019年2月14日  3時27分~4時5分

岩本彗星が13日に地球に最接近し、さらに、NGC2903にも近づくということで、
下條村まで遠征してきました。
当日は、彗星の見える時間帯では午前5時頃にもっとも近づくとのことでしたので
ゆっくりと出かけ、現地には九時過ぎに到着、すでに にゃんたさんが待機中でした。

到着後、一面、雲の中となり、それでも3時前から雲が去り、撮影を開始しました。
地球に最接近していたので、彗星の移動が早く、出来れば短い鏡筒にしたかったのですが、
銀河もしっかりと写したいので、考えた末に、13㎝屈折にしました。
前回、ISO6400にして、やはり画像が粗くなっていたので、今回は4000とし、
4分間の撮影をしました。
それでも、彗星の動きが早いために、一枚写真にもコマの移動が写っています。
彗星には、淡い二本の尾が見えています。

撮影は、4時半過ぎから、薄い雲が通過し、5時には一面雲となりました。
そのために、約1時間半の撮影となりました。
先ずは、比較的尾の写りの良い、一枚画像を掲載します。

イメージ 1

撮影日時 2019年2月14日 3時27分
TOA130NS  with 35RD
D810A  ISO4000
240s

先日、岩本彗星の撮影と共に、トールの兜星雲を撮影しました。

一晩は、Hαのみ4時間でしたが、シーイングは良くありませんでした。
二晩目は、OⅢとRGBの5時間で、シーイングは良い状態でした。

13cm屈折鏡筒がF7と暗いので、AOO合成を行ってみましたが、色合いが悪く、
AR・OG・OB合成としました。
しかし、兜あたりの解像度が悪く、あれこれと考えている中で、3年前に撮影した
データがあることを思い出して、それに今回のデータを加えることにしました。

処理は、R画像=A50%+R50%, G画像=OⅢ30%+G70%,  B画像=OⅢ50%+B50% として、
L画像はR画像を使用しました。

3年前のデータは、25cm反射鏡筒でF4と明るく、今回はOⅢデータを加えたので、
兜あたりの解像度が良くなり、青色もしっかりと出てくれました。

イメージ 1

2019年2月4日
TOA130NS  with 35FT
SX-814
OⅢ: 20 m x 10

2016年2月2日 19時41分
Orion 25㎝ F4.6 with Paracorr2
SX-814 (-30T)
Ha: 10 m x 11   
R:  10 m x 16,  G: 10 m x 8,  B: 10 m x 7 
(All 1bin)



2月に入って、最初の遠征を4日に行うことができました。
早い時間に下條村に着くことができたので、最初は南低空の星雲を撮影し、
夜半過ぎから岩本彗星を撮影することにしました。

星雲の撮影を終えて、いよいよ岩本彗星に狙いを定めると、
南の低空から雲が湧いてきて、しし座の下を薄雲が覆ってしまいました。
それでも、晴れることを期待して、撮影を始めると、1時間程して
雲がなくなり、彗星の南中である3時20分頃は、良い条件となってくれました。

銀河M104に前日近づいていた彗星ですが、この時は、おとめ座の銀河が
多数位置する場所を移動していました。
彗星と銀河の両方を撮影する目的であったので、焦点距離の長い鏡筒とした結果、
1枚あたりの撮影時間が長くなりました。
予想していたよりも彗星の移動がかなり早いので、5分間撮影から、途中で3分間撮影に変えて、
そのため、ISOも3200から6400としました。

画像処理は、銀河を写し出すために、恒星基準とし、その後、彗星をどうするか、悩んだのですが、
今回は、彗星の移動も分かるように、彗星核基準の写真を合成することはしませんでした。
その結果、24分間の彗星の移動が、周囲の銀河の大きさと比べて見ることができます。
彗星の左にある銀河はNGC4504、下の銀河はNGC4487です。

イメージ 1

撮影日 2019年2月5日
TOA130NS  with 35RD
D810A  ISO6400
180s x 8  恒星基準にて合成

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